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夢を見るころ
第1章 ゆ
翌日、昼休み直前に打ち合わせから席に戻ると
内線の連絡メモがあった。

「経理の篠塚主任より。内線が欲しいそうです」

篠塚主任が?
昨日以外であまり接点のない人なだけに嫌な予感がした。

「楠、昼休みに行く前に篠塚さんに内線まわして」
「はい」
「経理から呼び出しって、経費でも使い込んだか?」

だったらまだいいんですけど・・・
ため息をついて内線を回したら、一緒に昼食に誘われた。

予感が当たらないでほしいと願いつつ、
社員食堂を外して外に食べに行く。

注文を済ませるとさっそく本題に入った。

「楠。昨日の美人。幼馴染ってだけ?」
ああ・・・
「紹介してよ」
予感的中。か。

「篠塚さん。悪いことは言いません。夢は辞めたほうがいい。
人は悪くないいですけど。なんせ意地悪なんです」
「へぇ」
「男友達としてならまだいいですけど。女としてはどうでしょう?
あいつが恋愛するというのは想像もできません」
「へぇ」
「昨日だってわざわざ俺に意地悪をしに来たんですよ!」

今までの夢の悪行を吐き出してやるとばかりに篠塚さんに言いつけた。

「で?楠は永坂さんが好きなの?」
「勘弁してくださいよ。俺が好きなのは夢の妹です」

誘導尋問のように告白してしまった。

「じゃぁ、問題ないな。彼女の性格はひと目見て大体分かったからいいんだ。
楠が恋愛感情がないなら、問題ない。紹介してほしい」

一見優しく笑うその笑顔が何より怖いものだってことは
会社中が知ってる。
笑いながら経費の話しをされるとこっちは何も言い返せないオーラがある。

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