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第6章 動揺
〜山崎side〜

それにしても…すっかり報告を上げるタイミングを失ってしまった。 気付けばもう真夜中に近い時間だった。

(こんな時間まで屯所にいるという事は、さくらさんは今日はもう屯所に泊まっていくのだろうか。いやしかし、副長はまだ仕事が残っているはず…)

どうしたものかと考えながら、部屋の中をうろうろする。

どうにも落ち着かなくて、屋根の上へ登る事にした。
ここは山崎の気に入りの場所だった。
星がキラキラしているところをボンヤリと眺める。
もう何度目かの溜息をついた時、

「山崎…副長がお呼びだ。」

と、仲間の隊士が呼びに来た。
「副長」という単語に反応してビクリと肩を揺らす。
怪訝そうな顔をしながらも隊士は声を掛けてくる。

「山崎はこの場所が好きなんだな。何か考え込んでいる時はいつもここにいる。」

「…。」

山崎は目を伏せる。

「…ここで星を眺めていると、目の前一面がキラキラしていて、美しいもの全てを手に入れた気になる…。」

少し遠い目をした山崎は再び溜息をつく。
(でも、俺は気付いてしまった。俺が本当に手に入れたいもの…)

「そうか…では先に降りるぞ。」

ヒラリと隊士は去っていった。
グッと手を握りしめ、山崎も腰を上げる。


ーーー…

副長の部屋の前までやってきた山崎は襖の外から声をかけ掛けようとしていた。
(さくらさんはどうしたのだろう)
すると、声を掛ける直前、スッと襖が開いた。
中からは副長だけが廊下に出てくる。

月明かりに照らされた廊下で、副長の冷たい目線がこちらを向く。

(…!)
思わず目を逸らしてしまう。

「副長、お呼びでしょうか」

「…ああ。近藤さんに呼ばれたから行かなきゃならねぇ。」

ドクン…

「中でさくらが寝ているが、目が覚めたら四季まで送って行ってくれ。」

「は…はい」

チラリと中の様子を伺うと、さくらさんは畳の上でキチンと着物を着て、横たわっていた。
山崎の心臓は早音を打っていた。
思わず頰に熱が集まってくる。
さくらさんが目覚めるのを待とうと、廊下に腰掛ける。

「山崎。」

低く地を這うような声で呼ばれ、ビクリとする。
副長の目は月明かりを受け、ギラリと光っている。
感じたことのない雰囲気に、まさか2人の行為をコッソリと覗いていたのに気付かれていたのかと、動揺する。

「は…はい」
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