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第9章 桜
今でも目を瞑ると脳裏に蘇る。

真っ白な肌。
火照った頰。
ふるふると震える柔らかそうな膨らみ。
細い足首。
白い桃のような尻。
キラキラと濡れて光る秘部。
そして恍惚とした表情。
甘く切ない声…

山崎は木に背を預け、目を閉じた。
手は着物の中の既に硬く主張する自身にあてがわれている。
固く閉じ込めていた気持ちだったが、
俺はもう知ってしまった。
男女の痴態を。想いを寄せていた人の乱れる姿を。


今日屯所の副長の部屋で見てきたことを、一から思い起こす。
身体が熱くなってくる。
男根はいっそう硬くなり、先端が濡れてきていた。
はぁはぁはぁ…
山崎の手の動きは加速し、息が荒くなる。


目を瞑ると、目の前には着物を大きくはだけさせた、さくらさん。


想像の中の俺は自由だった。
そうだ、想像の中でなら、誰に恋焦がれたって、誰を抱いたって構わないのだ。
胸の膨らみに触れると、俺の好きなように形を変える。
恍惚とした表情。
時折漏れる、甘い声。
おれは夢中で口付ける。さくらさんの柔らかさ、熱、先程触れたばかりなのに、もう恋しい。
細い足を掴んで大きく脚を広げさせる。
さくらさんの中心に自身をあてがう。
山崎の手の動きは更に速くなる。
はぁはぁはぁ

「…っ。さくらさん、さくらさん…っ‼︎」

手の動きに合わせて自然と腰が揺れる。
創造の中のさくらさんはおれが腰を突き上げると苦しげに眉を寄せ、甘い声を漏らしている。俺は、さくらさんの身体中に口付けた。
隅から隅まで味わうように、俺の印を残すように。
俺のものになってくれるように。


桜の花びらが舞い散る中で、決して手に入らない大好きな人を想像の中で抱きながら、
俺は果てた。






END
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