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Love adventure
第16章 マカロン①
**
ほなみは、callingの控室のソファーの上で夢を見ていた。
――色とりどりに花が咲き乱れる薔薇園で西本祐樹と歩いている。
ふたりは恋人どうしで、手を繋ぎ見つめ合い笑っていた。
夢の中では願望は正直にあらわれるようだ。
『どの薔薇も綺麗に咲いてる……素敵。まるで少女漫画の世界ね』
ほなみは西本に凭れかかり、はしゃいだ。
『……少女漫画?例えばどんな?』
『お姫様がいてね、高い塔に閉じ込められてるの』
『どこの国のお姫様?』
『細かい事はいいの』
『ツッコミ処満載だなーーで、誰がお姫様を閉じ込めたの?』
『大きな、ドラゴン』
『ドラゴンっ?……一気に少女漫画から離れてゲームみたいな世界になってきたな』
ほなみは、一際美しく咲いたピンクの薔薇を手に取りその薫りを堪能した。
『ドラゴンはね、一睨みで人を石に変えるの……お姫様は、ドラゴンが居る限り塔から出られないの』
『……それでどうなるの?』
彼がハサミで器用に薔薇を切り手に取って眺めた。
『凄くベタだけど、強くて優しい騎士に助けられるの……なんて、それこそ都合の良いお伽話だよね……』
彼は柔らかく笑い、俯くほなみの髪に一輪の薔薇を挿した。
『……お姫様は幸せになれるよ……』
『……そうかな』
『似合うよ。ほなみがお姫様みたいだ』
髪に飾られた薔薇にそっと触れると、あっという間に朽ち果て、彼の姿も消えた。
『西君っ!?』
色鮮やかな薔薇園が一気に青い薔薇達の世界に変わる。
春の日だまりのように暖かった世界は、色彩が一気に暗くなる。
空は重い青黒い色に塗り替えられ、凍てつくような空気が肌を刺した。
『西君……西君!何処にいるの?』
薔薇がザワザワ不穏な音を立て、人の形に姿を変えると、ほなみを取り囲んだ。
――お前は逃げられない――逃げられない――
風でカサカサ揺れる葉音が、そう言っている様に聞こえる。
ほなみは、callingの控室のソファーの上で夢を見ていた。
――色とりどりに花が咲き乱れる薔薇園で西本祐樹と歩いている。
ふたりは恋人どうしで、手を繋ぎ見つめ合い笑っていた。
夢の中では願望は正直にあらわれるようだ。
『どの薔薇も綺麗に咲いてる……素敵。まるで少女漫画の世界ね』
ほなみは西本に凭れかかり、はしゃいだ。
『……少女漫画?例えばどんな?』
『お姫様がいてね、高い塔に閉じ込められてるの』
『どこの国のお姫様?』
『細かい事はいいの』
『ツッコミ処満載だなーーで、誰がお姫様を閉じ込めたの?』
『大きな、ドラゴン』
『ドラゴンっ?……一気に少女漫画から離れてゲームみたいな世界になってきたな』
ほなみは、一際美しく咲いたピンクの薔薇を手に取りその薫りを堪能した。
『ドラゴンはね、一睨みで人を石に変えるの……お姫様は、ドラゴンが居る限り塔から出られないの』
『……それでどうなるの?』
彼がハサミで器用に薔薇を切り手に取って眺めた。
『凄くベタだけど、強くて優しい騎士に助けられるの……なんて、それこそ都合の良いお伽話だよね……』
彼は柔らかく笑い、俯くほなみの髪に一輪の薔薇を挿した。
『……お姫様は幸せになれるよ……』
『……そうかな』
『似合うよ。ほなみがお姫様みたいだ』
髪に飾られた薔薇にそっと触れると、あっという間に朽ち果て、彼の姿も消えた。
『西君っ!?』
色鮮やかな薔薇園が一気に青い薔薇達の世界に変わる。
春の日だまりのように暖かった世界は、色彩が一気に暗くなる。
空は重い青黒い色に塗り替えられ、凍てつくような空気が肌を刺した。
『西君……西君!何処にいるの?』
薔薇がザワザワ不穏な音を立て、人の形に姿を変えると、ほなみを取り囲んだ。
――お前は逃げられない――逃げられない――
風でカサカサ揺れる葉音が、そう言っている様に聞こえる。