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Love adventure
第22章 答えはないのに
「お久しぶりです!」
「相変わらずお綺麗で何よりです!」

 庶務課の芽衣と、第二業務課の伊藤が、競うように挨拶してくる。

「お二人さん、相変わらずラブラブなのかしら?」
「ぜーんぜんですよ!伊藤君たら、浮気しやがったんですよっ?」
「だから、悪かったって謝っただろ?」

 伊藤は、苦虫を噛み潰すように顔を歪め肩身が狭そうに背を丸めた。

「このバカップルは事件を乗り越えたらしいです……はあ――のろけるんじゃないわよ全く……いただきます!」

 カナは芽衣たちを憎々しげに一瞥してから、マカロンを頬張り顔を綻ばせた。

「芽衣ちゃんも結婚は近いのかしら?」

 ほなみが冷やかすと、伊藤は照れて頭を掻く。

「わかりません!」

 芽衣がバッサリ言うと、伊藤がずっこけた。

「そういえば!村田君と陽子、結婚したんですよ!」
「そうなの?」
「今、新婚旅行中なんですよ」
「いいなーー新婚旅行でカナダ……憧れ……はあああ」

 カナは、二個目のマカロンを味わいながら遠い目をした。

「村田君てね、仁科さんの事が好きだったんですよ」

 芽衣がひそひそ声で言うと、カナ慌ててその口を塞ぐ。

「それは言っちゃダメだって!」
「ふぇえ?ほーなの?」

村田は違う課の、三歳下の明るい後輩で、一度だけ誘われて食事をした事があった。

「ええ?もう時効じゃないですか?村田君もめでたく結婚して、仁科さんだって智也さんと仲睦まじいご夫婦だし」

 芽衣がカナの手を振り払うと、二人は睨み合い、ソファーの上で取っ組みあいを始めた。
 ほなみが止めようとすると、伊藤がボソリと話し始めた。

「智也さん、優しいですか?」
「え?」
「黙ってようかと思ったんですけど……気を付けた方がいいかもです」
「?」

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