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Love adventure
第22章 答えはないのに
一番近い友人はあぐりだが、彼女にでさえ本当の処を突っ込んでいけない部分もある。
自分はいつからこんな風になってしまったたのだろう。
あぐり御得意の台詞ーー「女優になれ」ではないが、ほなみは中学の頃からある種の仮面を被ったまま生きて来たのかも知れない。
「遅いバレンタインです」
「おおっ!こりゃ、私の好物じゃないかっ!」
ほなみが土産を渡すと、中野は早速包みを開け、ショコラオランジェをつまんで悦に入っている。
「あの……実は明日から暫く仕事で留守にするんです」
「……そうなのかい。ほなみちゃんは、色々と出来る子だし、お仕事だってしたいよなあ?
智也君と結婚しなけりゃ、もっとここで働けたのに勿体無かったよね……
まあ、良かったじゃない。頑張って行ってきなさい……何だか沈んだ顔だね?」
「不安になるんです。自分が本当に必要とされてるのか。
私が思う程、あの人は私の事を重要に思ってないんじゃっ……て」
そこまで話してほなみは、しまった、と口をつぐんだ。
この人と居るとつい余計な事までこぼしてしまう。
中野は、菓子を味わいながら目を細めた。
「人と人は鏡だからねえ。こちらの思いは大体向こうに伝わるものだよ。良くも悪くもね」
今のほなみの心は西本祐樹で一杯で、彼にどう思われているのか、が最大の気掛かりなのだ。
だが中野は、智也の事を言っていると思っているのだろう。
話を聞いてくれる中野の優しさに、後ろめたさを感じた。
「中野さ――ん!そろそろ仁科さんを返してくださーい!」
気付けば、事務所のドアを開けてカナが騒いでいた。
中野は舌を出し、おどけて目を剥いてみせた。
「さて、じゃあ私は他に仕事があるから失礼するよ」
「また話しに来ても、大丈夫ですか?」
「いいに決まってるじゃないか」
中野は、笑って目がなくなってしまった。
ほなみも心が和み笑う。
中野に手を振り、ほなみは事務所のロビーへと入っていった。
自分はいつからこんな風になってしまったたのだろう。
あぐり御得意の台詞ーー「女優になれ」ではないが、ほなみは中学の頃からある種の仮面を被ったまま生きて来たのかも知れない。
「遅いバレンタインです」
「おおっ!こりゃ、私の好物じゃないかっ!」
ほなみが土産を渡すと、中野は早速包みを開け、ショコラオランジェをつまんで悦に入っている。
「あの……実は明日から暫く仕事で留守にするんです」
「……そうなのかい。ほなみちゃんは、色々と出来る子だし、お仕事だってしたいよなあ?
智也君と結婚しなけりゃ、もっとここで働けたのに勿体無かったよね……
まあ、良かったじゃない。頑張って行ってきなさい……何だか沈んだ顔だね?」
「不安になるんです。自分が本当に必要とされてるのか。
私が思う程、あの人は私の事を重要に思ってないんじゃっ……て」
そこまで話してほなみは、しまった、と口をつぐんだ。
この人と居るとつい余計な事までこぼしてしまう。
中野は、菓子を味わいながら目を細めた。
「人と人は鏡だからねえ。こちらの思いは大体向こうに伝わるものだよ。良くも悪くもね」
今のほなみの心は西本祐樹で一杯で、彼にどう思われているのか、が最大の気掛かりなのだ。
だが中野は、智也の事を言っていると思っているのだろう。
話を聞いてくれる中野の優しさに、後ろめたさを感じた。
「中野さ――ん!そろそろ仁科さんを返してくださーい!」
気付けば、事務所のドアを開けてカナが騒いでいた。
中野は舌を出し、おどけて目を剥いてみせた。
「さて、じゃあ私は他に仕事があるから失礼するよ」
「また話しに来ても、大丈夫ですか?」
「いいに決まってるじゃないか」
中野は、笑って目がなくなってしまった。
ほなみも心が和み笑う。
中野に手を振り、ほなみは事務所のロビーへと入っていった。