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Love adventure
第30章 初恋ーー蒼い目覚め
 ほなみが中学二年生の時、彼女の両親が事故死した。
 身寄りの無い彼女を岸の家で引き取る事になった。
 もとより俺の両親は、ほなみを娘のように可愛がっていて、ほなみの両親も生前に冗談混じりにこう言っていたのだ。

「俺達にもしも何かあったら、岸に面倒見てもらえばいいぞ!ついでに智也君のところに嫁にいけばいい!」

 この話が飛び出すのは決まって年に二回の親戚が集まる酒の席だった。
 両親どうしがその話で盛り上がる中、俺は向かいのテーブルのほなみを密かに盗み見た。
 ほなみはその場の騒ぎなど全く意に介さず、俺の従姉妹達と楽しそうにお喋りしている。

 (――人の気も知らないで――)

 彼女の反応が薄いのにホッとしたような残念なような複雑な気持ちで、俺はいつものポーカーフェイスで湯飲みの茶を煽った。
 俺は、好意を持っている事をいまだに言えずにいた。この気持ちは『好意』と呼ぶにはかなり重い種類の物だと思う。
 思いを告げたら、怖がって避けられるようになるかも知れない、と恐れていた。

 いつもほなみの姿を密かに目で追い、その声を耳を澄まして聞いている。
 ほなみが誰を見ているのか、誰がほなみを見ているのか常に目を光らせていた。
 男子が彼女に声を掛けようとすれば、俺はわざとほなみに用事で声を掛けたりして、その輩を遠ざけた。
 常につかず離れずの距離を保ち、どのタイミングで伝えるのが良いのかいつも考えていた。




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