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Love adventure
第31章 初恋ーー口づけ
 俺は、ほなみに「好きだ」と口に出した事はない。
 たぎるような、強烈な思いを一度口にしたら一気にタガが外れ、自分を保てないかも知れない。
 そんな恐れから、無理矢理気持ちと行動にブレーキをかけていた。
 だが、ほなみの両親が亡くなった時、俺は思い切って告白したのだ。
 取り乱すほなみを抱き締めて
 「大丈夫だ。これから父さんや母さん、俺がずっと一緒にほなみと一緒にいるから……」と。

 俺にしてみたら、告白と同等だったのだが、彼女には通じていなかったのだろう。
 両親が突然亡くなって動転している時に、俺の言葉の意味を理解しろと言っても無理かも知れない。
 ほなみが岸の家で暮らすようになり、毎日同じ空間に居られる事に、嬉しさと同時に生殺しのような苦しさを味わう事となった。

 朝、目覚めてリビングに降りるとパジャマのままのほなみが欠伸をしながらコーヒーをキッチンで淹れていたりする。
 無防備な姿に一気に眠気が醒め、身体の中心がカッと熱くなる。
 俺は、そんな自分を必死に制御しながら平然とした顔で「おはよう」と言うのだ。

「おはよう。智也君」

ほなみは、少し赤い目で笑いかける。多分、昨夜もひとりで泣いていたのだ。
 葬式以来、俺や岸の両親の前でほなみは一切悲しみの感情は出さなかった。




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