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Love adventure
第33章 惑わすBEAT①
「この部屋には時計が無いの?」

 ぶつぶつ言いながら、スマホで時間を確認する。

「夜の8時か……よくもまあ、ぐっすりと寝てたものね……普段よりも熟睡しちゃったんじゃない?こんなわけワカメな状況なのに……」

 小さく、ピアノの音が聞こえて来た。
 優しい調べに誘われる様に音のする方へ歩いて行く。青いドアの向こうから聞こえるようだ。
 恐る恐るドアを細く開けると、薄暗い部屋には微かな照明が燈っていた。
 大きなベットに、何かの膨らみが見える。
 誰が居るのだろうかと目を懲らすと、その身体は寝返りを打ち、裸の肩と腕、顔が見えた。

(……ほなみ!)

 ピアノの音が止み、陰からシャツを羽織っただけの西本が立ち上がり、ベットの側へ近寄る。

(ち、ち、ち、ちょっと!西君たら下に何にも穿いてない!いやん!見ちゃった……) 

 ほなみの方に身を屈めキスをしている様に見えた。

(そ、そうか。ここは西君のお宅なのか……じゃあ、まあ大丈夫よね)

 ドキドキしながらドアをそっと閉じて溜息を吐くと、肩を後ろから何者かにつかまれる。悲鳴を上げそうになるが、大きな掌で口を塞がれた。

(やだっ――酒臭い)

 あぐりは、物凄い力で捕まえられ身動き出来ず呻いた。

「……ぐぐ。いきなり……何よ!」
「お前も覗きの趣味があるのか?」

 聞き覚えのある男の声色だった。


「あっ!あんたは」
「静かに。こっちへ来い」

 腕を強引に引っ張られる。


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