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Love adventure
第34章 惑わすBEAT②
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「――さむっ」
冬の冷気が肌を刺し、あぐりは身を縮めると大きな背中にしがみつく。
その手を野村の大きな手がギュッと握った。
挑発したり、嫌がってみせたり、子供の様に泣いて震えたかと思うと、寒い、と親に甘える様に身を寄せる彼女。野村は、強烈に、愛しいと思ってしまった。
――もう、帰さない。
そう心に決めた時、丁度通りかかったタクシーを手を上げて止め、彼女と共に乗り込んだ。
「貴女は、嫌なのか、いいのかどっちなんですか」
野村は、あぐりを見つめ訊ねてみる。
「……わかんないよ」
やはり、あぐりは、どっちともつかない返事をしてそっぽを向く。
「じゃあ、都合のいいように受け取りますよ」
「?」
素早く顎をしなやかな指でつかまれ、あぐりの唇が奪われた。
最初は身体を強張らせていたあぐりも、次第に唇を受け入れていく。
長い口づけをしながら、ふたりは後部席に沈んでいった。
運転手が咳ばらいをし、「――どちらに?」と聞く。
野村は、あぐりの首筋に唇を落としながら
「田園調布の□□マンションまで」と僅かに上擦る声で指示した。
大きな手がシャツの中へ侵入して柔らかい素肌をまさぐると、あぐりは小さな声を漏らし、逞しい首に腕を廻す。
「――何処へ行くの」
「ゆっくり貴女を口説ける場所です」
酔いが醒めたはずなのに身体が熱い。
――ドクドクドクドク――
身体の中から沸き上がるBEATに翻弄されながら、狂おしくふたりは抱き合った。
自分の中にある高鳴りなのか、相手の高鳴りなのか区別がつかないまま。
その時、消音にしていたスマホに恋人の稲川から着信があった事にあぐりは全く気が付かなかった。
「――さむっ」
冬の冷気が肌を刺し、あぐりは身を縮めると大きな背中にしがみつく。
その手を野村の大きな手がギュッと握った。
挑発したり、嫌がってみせたり、子供の様に泣いて震えたかと思うと、寒い、と親に甘える様に身を寄せる彼女。野村は、強烈に、愛しいと思ってしまった。
――もう、帰さない。
そう心に決めた時、丁度通りかかったタクシーを手を上げて止め、彼女と共に乗り込んだ。
「貴女は、嫌なのか、いいのかどっちなんですか」
野村は、あぐりを見つめ訊ねてみる。
「……わかんないよ」
やはり、あぐりは、どっちともつかない返事をしてそっぽを向く。
「じゃあ、都合のいいように受け取りますよ」
「?」
素早く顎をしなやかな指でつかまれ、あぐりの唇が奪われた。
最初は身体を強張らせていたあぐりも、次第に唇を受け入れていく。
長い口づけをしながら、ふたりは後部席に沈んでいった。
運転手が咳ばらいをし、「――どちらに?」と聞く。
野村は、あぐりの首筋に唇を落としながら
「田園調布の□□マンションまで」と僅かに上擦る声で指示した。
大きな手がシャツの中へ侵入して柔らかい素肌をまさぐると、あぐりは小さな声を漏らし、逞しい首に腕を廻す。
「――何処へ行くの」
「ゆっくり貴女を口説ける場所です」
酔いが醒めたはずなのに身体が熱い。
――ドクドクドクドク――
身体の中から沸き上がるBEATに翻弄されながら、狂おしくふたりは抱き合った。
自分の中にある高鳴りなのか、相手の高鳴りなのか区別がつかないまま。
その時、消音にしていたスマホに恋人の稲川から着信があった事にあぐりは全く気が付かなかった。