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Love adventure
第34章 惑わすBEAT②
「――わ、わかんないわよっ私にだって」
真っ赤になり、口を尖らせる彼女を、野村はクスリと笑った。
普段は冷たい印象な顔立ちが一転、可愛い笑顔になる。
「困った人ですね」
顔を急に強張らせたあぐりに、野村は脚をつかんだまま顔を上げる。
「……どうしました?」
あぐりの大きな目から涙がどっと溢れた。
「……あの人と…同じ事を言わないでよ……あんたなんかが…っ」
「――?」
一瞬手を緩めた隙に、あぐりは野村の腕から逃げ、ソファの隅まで離れると乱れたスカートを直す。
「いつも……あの人は……駄々をこねる私に……『困った子だね』って……ひっく…」
しゃくり上げるその肩を、野村は包み込む様に抱いた。
「すみません」
「なっ何で謝るの」
「恋人さんの口説き文句をパクったみたいですみません」
「口説き文句違うわよ!」
「違うんですか」
「……もうとっくに口説き落とされてるし……」
「じゃあ俺も口説いていいですか」
「はっ?」
あぐりが身体が浮くのを感じた時には、野村に抱えられていた。
野村は軽々とお姫様抱っこをしながらドアを開けフロントに向かう。
擦れ違う客が、ジロジロと遠慮なくふたりを見ていた。
「ちょっと!おろしてよ!」
あぐりは、ジタバタしながら胸を叩くが、野村は意に介さない。
抱えたまま器用に会計を済ませ、外に出るとやっとあぐりを下に降ろした。
真っ赤になり、口を尖らせる彼女を、野村はクスリと笑った。
普段は冷たい印象な顔立ちが一転、可愛い笑顔になる。
「困った人ですね」
顔を急に強張らせたあぐりに、野村は脚をつかんだまま顔を上げる。
「……どうしました?」
あぐりの大きな目から涙がどっと溢れた。
「……あの人と…同じ事を言わないでよ……あんたなんかが…っ」
「――?」
一瞬手を緩めた隙に、あぐりは野村の腕から逃げ、ソファの隅まで離れると乱れたスカートを直す。
「いつも……あの人は……駄々をこねる私に……『困った子だね』って……ひっく…」
しゃくり上げるその肩を、野村は包み込む様に抱いた。
「すみません」
「なっ何で謝るの」
「恋人さんの口説き文句をパクったみたいですみません」
「口説き文句違うわよ!」
「違うんですか」
「……もうとっくに口説き落とされてるし……」
「じゃあ俺も口説いていいですか」
「はっ?」
あぐりが身体が浮くのを感じた時には、野村に抱えられていた。
野村は軽々とお姫様抱っこをしながらドアを開けフロントに向かう。
擦れ違う客が、ジロジロと遠慮なくふたりを見ていた。
「ちょっと!おろしてよ!」
あぐりは、ジタバタしながら胸を叩くが、野村は意に介さない。
抱えたまま器用に会計を済ませ、外に出るとやっとあぐりを下に降ろした。