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Love adventure
第35章 惑わすBEAT③
「西君の部屋もだけど、野村君の部屋も生活感が無いのね」
あぐりは、モノトーンに統一された部屋を、物珍しげにキョロキョロと見回した。
リビングの大きな窓のブラインドを開けると、真夜中の景色が拡がる。
「西君の部屋の眺めと較べちゃうと若干アレだけど……このぽつぽつした感じの夜景も風情がある!うん!」
タクシーの中ではずっと身体を密着させて何度も唇を合わせていたのたが、こうして部屋に入って明かりの中でふたりきりになると今更緊張してしまう。
こういうお決まりのシチュエーションは幾度も経験してきたはずだった。なのに、浮き足立っている自分に戸惑い、あぐりはわざと何でもないような風を装う。
野村がさりげない手付きで、あぐりの上着をするりと脱がしてきて、心臓が弾んだ。
彼は手慣れた手つきで服をハンガーにかけると、バリスタで珈琲を淹れ始めた。
コポコポと音を立て香ばしい薫りが拡がる。
「どうぞ」
あぐりは差し出されたカップを受け取り「ありがと」と短く言った。
珈琲を口に含むと、ソファの傍らにサンセベリアの鉢があるのに気付く。
「生活感の無いお部屋に似つかわしくない物みーつけた」
「ああ……それね。乾燥にも日照不足にも強いから楽なんです」
「……とか言って、女が置いてったんじゃないの?」
軽口のつもりで言ったが、野村は黙って珈琲を飲み込んでいる。
「!……そ、そうなんだね……こういうの置いていくって、何か困るよね?面倒じゃない。捨てられないしね。アハハ……」
あぐりは、モノトーンに統一された部屋を、物珍しげにキョロキョロと見回した。
リビングの大きな窓のブラインドを開けると、真夜中の景色が拡がる。
「西君の部屋の眺めと較べちゃうと若干アレだけど……このぽつぽつした感じの夜景も風情がある!うん!」
タクシーの中ではずっと身体を密着させて何度も唇を合わせていたのたが、こうして部屋に入って明かりの中でふたりきりになると今更緊張してしまう。
こういうお決まりのシチュエーションは幾度も経験してきたはずだった。なのに、浮き足立っている自分に戸惑い、あぐりはわざと何でもないような風を装う。
野村がさりげない手付きで、あぐりの上着をするりと脱がしてきて、心臓が弾んだ。
彼は手慣れた手つきで服をハンガーにかけると、バリスタで珈琲を淹れ始めた。
コポコポと音を立て香ばしい薫りが拡がる。
「どうぞ」
あぐりは差し出されたカップを受け取り「ありがと」と短く言った。
珈琲を口に含むと、ソファの傍らにサンセベリアの鉢があるのに気付く。
「生活感の無いお部屋に似つかわしくない物みーつけた」
「ああ……それね。乾燥にも日照不足にも強いから楽なんです」
「……とか言って、女が置いてったんじゃないの?」
軽口のつもりで言ったが、野村は黙って珈琲を飲み込んでいる。
「!……そ、そうなんだね……こういうの置いていくって、何か困るよね?面倒じゃない。捨てられないしね。アハハ……」