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Love adventure
第35章 惑わすBEAT③
少なからずショックを受けている自分に、あぐりは驚いてた。
いつの間にか野村が背後に廻り込み、抱き締めている。
「……気にしてくれるんですか」
低いけれど澄んだ声が心地好く、涙が出そうになる。
あぐりは努めて平静を装い、素っ気なく答えた。
「別に?私だって旦那も恋人も居るし。そりゃ芸能人だもの。モテ期もなにも関係なく年中無休でモテ期でしょうよ……ふんっ」
憎まれ口を叩きながら、指が震えカップの琥珀色の液体が波打つ。
野村には、彼女の動揺が手に取る様に分かった。
そして、嬉しく思ってしまう。
野村の大きな手がカップをそっと持ち、傍らのテーブルに置いた。
あぐりを抱き締めたまま。
「口が悪いね……打ち上げでも思いましたけど」