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Love adventure
第35章 惑わすBEAT③
 あぐりは、小さく咳払いして、挑みかかる様な眼差しで後ろの彼を見た。

「口だけじゃなくて色々と悪いわよ?」
「例えばどんな所が?」

 野村は、彼女の視線を真っ直ぐに受け止める。

「……旦那も居て恋人も居るのに……今こうしている事とか……ね」

 あぐりは、目をふせ小さく呟く。
 野村はその顎をそっと持ちあげた。

「まだ引き返せますよ?」

 彼女の大きな瞳が、躊躇いの色を滲ませている。
 野村は、彼女をこのまま逃がすつもりは毛頭なかった。
 腰に手を回すと力を込めてこちらを向かせる。

「……引き返してもいいの?」

 あぐりは、背中にしっかり腕を廻され、身動き出来ない。

「……逃げるなら逃げて」

 ――今夜は離さない、と決めているのに、優しい振りをする自分が滑稽に思える。

「言ってる事と行動が真逆ですけど?」
「吉岡さんが嫌なら何もしません」

 野村は、彼女の肩に顔を埋めて、強く抱き締めた。

「のむ……ら君っ……くるし……」
「すみません」

 若干力は弱められたが、やはりその腕はあぐりをしっかりと捕まえていた。

「……ねえ」
「はい」
「吉岡さん、て呼び方やめない?なんか、堅いわよ……」
「……では、何と呼べば」


「野村君の好きな呼び方でいいわよっ。
『あぐりちゃん』でも『女王様』でも『べいべー』でもさっ」
「……あぐり」
「――!」

 低く囁かれ、不意打ちを喰らったようなときめきであぐりの心臓が早鐘を打つ。

「……このまま抵抗しないなら、俺の好きなようにしますよ?」
「あっ」

 あぐりは、すぐ傍にあるソファーに倒され、その拍子にスカートが太股まで捲れ上がった。
 隠そうとする前に、野村の手が伸びる。



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