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Love adventure
第36章 惑わすBEAT④
珈琲の香ばしい薫りと、パンが焼けたことを知らせるタイマーの音……
ふたりで目覚めて、特別に話す事は無くても一緒に朝食を食べて……
そして私は、愛する人を笑顔で送り出すの――
そんな結婚をするのが夢なのだと、高校二年生の時にほなみに話した事がある。
学校帰りに寄ったドーナツショップ。
あぐりとほなみは、道行く沢山の人達が見える表通りに面したカウンター席に座っていた。
ほなみは、あぐりの顔をキョトンと見ていた。
あぐりは、オールドファッションをカフェオレで流し込む。
「……意外かも。あぐりがそんな事言うの」
「そう?私の夢は平凡な結婚生活よ。ふつーの旦那とふつーのお家に住んで毎日お料理とお洗濯して、お休みには旦那さんとホームセンターへ行って仲良くレッツDIYするの」
「レッツDIY?」
「知らない?『Do It Yourself』よ?!
それでね、犬を飼うの!……で、ふたりでトンテンカンテンして犬小屋を作るの!
でさ、その犬が全然お利口じゃなくてね、お手はしないし噛むし漏らすし、私達散々手を焼くのよ。
けど、そんな時は旦那さんが私を慰めてくれるのよ。
『……出来の悪い子程可愛いっていうじゃないか。僕はギャッツビーを絶対見放さないし、あぐりの事も一生可愛がるからね』
――て」