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Love adventure
第36章 惑わすBEAT④
ほなみは、そこに大切な何かが沈んでいるかのように、切ない眼差しをグラスの底に向けている。
「ただ……あれから……またいつもの素っ気ない智也に戻ったから……何故なのかなって……」
「……う――ん。ヤッた途端冷たくなる男って確かにいるけど、奴はもともと良くわかんない男だしねえ……」
「……そうなの?」
「うんうん。ヤリ目的の男はね。智也は冷たいけどさ、元からだし、気にする事ないんじゃない?ひょっとしたら、奴も照れてるだけかもしれないしさあ!」
「智也が……照れる?」
ほなみが吹き出し、あぐりはホッとする。悲しげな表情を目の前で見ているのは辛い。
「そうよう!あいつってむっつりっていうか、秘密主義なところあるじゃない!今まで女を抱くことなんて興味ないーーみたいなふりしてたクセに、ほなみにはスケベ全開なところを見せちゃったから、恥ずかしいのよ!うん、きっとそうよ!かっわいいところあるじゃなーーい!智也のくせにさっ!あっはは!」
「もう……あぐりったら」
あぐりは、威勢よくそう言いながら内心焦っていた。
ボーイフレンドと何人か付き合っては来たが、そういう意味での経験はまだなのだ。
(奥手なほなみに先を越されてしまった……!)
表面ではしれっと先輩面をしていたが、初めての相手を誰にしようか頭の中で忙しく考えていた。
「あ!そうだ!明後日の『BEATS』忘れないでよ?学校終わったらソッコー着替えて行くからね!」
「うん。わかってるよ。あぐり、嬉しいよね。大好きな稲川さんに会えるんだもんね」
あぐりは鞄から『BEATS』が表紙の今月号の音楽雑誌『POTI―POTI』を出して眺めうっとりと溜め息をつく。
当時BEATSはブレイクしたばかりで、チケットが入手困難になりつつあった。
稲川は26才。甘く鋭いマスクと卓越したボーカル、攻撃的なステージパフォーマンスで若い女の子を中心に人気が急上昇だった。
人気女性雑誌のアンケートでは恋人にしたいミュージシャンの一位に輝いたり、とにかく大人気だった。
「ただ……あれから……またいつもの素っ気ない智也に戻ったから……何故なのかなって……」
「……う――ん。ヤッた途端冷たくなる男って確かにいるけど、奴はもともと良くわかんない男だしねえ……」
「……そうなの?」
「うんうん。ヤリ目的の男はね。智也は冷たいけどさ、元からだし、気にする事ないんじゃない?ひょっとしたら、奴も照れてるだけかもしれないしさあ!」
「智也が……照れる?」
ほなみが吹き出し、あぐりはホッとする。悲しげな表情を目の前で見ているのは辛い。
「そうよう!あいつってむっつりっていうか、秘密主義なところあるじゃない!今まで女を抱くことなんて興味ないーーみたいなふりしてたクセに、ほなみにはスケベ全開なところを見せちゃったから、恥ずかしいのよ!うん、きっとそうよ!かっわいいところあるじゃなーーい!智也のくせにさっ!あっはは!」
「もう……あぐりったら」
あぐりは、威勢よくそう言いながら内心焦っていた。
ボーイフレンドと何人か付き合っては来たが、そういう意味での経験はまだなのだ。
(奥手なほなみに先を越されてしまった……!)
表面ではしれっと先輩面をしていたが、初めての相手を誰にしようか頭の中で忙しく考えていた。
「あ!そうだ!明後日の『BEATS』忘れないでよ?学校終わったらソッコー着替えて行くからね!」
「うん。わかってるよ。あぐり、嬉しいよね。大好きな稲川さんに会えるんだもんね」
あぐりは鞄から『BEATS』が表紙の今月号の音楽雑誌『POTI―POTI』を出して眺めうっとりと溜め息をつく。
当時BEATSはブレイクしたばかりで、チケットが入手困難になりつつあった。
稲川は26才。甘く鋭いマスクと卓越したボーカル、攻撃的なステージパフォーマンスで若い女の子を中心に人気が急上昇だった。
人気女性雑誌のアンケートでは恋人にしたいミュージシャンの一位に輝いたり、とにかく大人気だった。