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Love adventure
第36章 惑わすBEAT④

周りの女の子達をちらっと見ると、皆一様にうっとりと稲川を見ている。
きっと皆、心の中で、
(稲川さんと私は今熱く見つめ合っている――幸せ)などと思っているに違いない。
あぐりは、試しに曲に合わせて左右に揺れてみた。
すると稲川も、ニッコリ笑って同じ動きをする――
(――嘘でしょ?)
思い切って、アカンベをしてみる。
すると、彼は一瞬困ったような表情をしたが、
『イーッ』とアカンベの仕草をしたのだ。バラードの演奏中に!
周囲の女の子達はくすくす笑っている。
「稲川さん可愛い」
「どうしたのかしらね?うふふ」
稲川は引き続き甘いバラードを歌いあげる。
あぐりを見つめながら。
ステージとの距離は7、8メートル程だろうか。
でも、すぐ近く耳元で歌われているような錯覚を覚えて夢見心地になる。
演奏が終わると、稲川は腕を振り上げてピックを投げた。こっちに向かって。
客が色めき立ち、皆取ろうと手を伸ばし、あぐりも夢中で手を差し出した。
――パシン。
手を伸ばした所に丁度狙い済ましたようにピックが飛んで来て、見事彼女はキャッチした。
周りの女の子達の羨望と嫉妬の眼差しが突き刺さり一瞬恐怖さえ覚えたが、ステージで稲川が言った言葉でそんなのは吹っ飛んでしまった。
「――ナイスキャッチ!」
きっと皆、心の中で、
(稲川さんと私は今熱く見つめ合っている――幸せ)などと思っているに違いない。
あぐりは、試しに曲に合わせて左右に揺れてみた。
すると稲川も、ニッコリ笑って同じ動きをする――
(――嘘でしょ?)
思い切って、アカンベをしてみる。
すると、彼は一瞬困ったような表情をしたが、
『イーッ』とアカンベの仕草をしたのだ。バラードの演奏中に!
周囲の女の子達はくすくす笑っている。
「稲川さん可愛い」
「どうしたのかしらね?うふふ」
稲川は引き続き甘いバラードを歌いあげる。
あぐりを見つめながら。
ステージとの距離は7、8メートル程だろうか。
でも、すぐ近く耳元で歌われているような錯覚を覚えて夢見心地になる。
演奏が終わると、稲川は腕を振り上げてピックを投げた。こっちに向かって。
客が色めき立ち、皆取ろうと手を伸ばし、あぐりも夢中で手を差し出した。
――パシン。
手を伸ばした所に丁度狙い済ましたようにピックが飛んで来て、見事彼女はキャッチした。
周りの女の子達の羨望と嫉妬の眼差しが突き刺さり一瞬恐怖さえ覚えたが、ステージで稲川が言った言葉でそんなのは吹っ飛んでしまった。
「――ナイスキャッチ!」

