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Love adventure
第4章 あなたに、とらわれて
 ほなみの手が震えている。

「あの……今日……とても素敵でした……
 ライヴの間……本当に……幸せでした……」

 ドキドキしてつっかえながら、やっとの思いでそう言ったほなみは、いつの間にか目の前に西本が立っている事に驚愕して小さく叫びそうになるが、彼の手が突然口を塞いだ為声は出ず、むぐむぐと呻いた。


「……黙って」

 西本は低い声で言うと、いきなりほなみを壁に押し付け、顎を持ち上げ唇を重ねてきた。
 手に握られていたチョコレートが床に落ちる。
 突然の彼の行動が理解出来ず、唇から逃れようと必死に腕で胸を押すが、力強い腕には敵わない。ほなみの唇は彼に思うままに吸われた。
 熱い溜息と共に、ぬるりとした感触の物が咥内に侵入して来て恐怖で身体が硬直する。
 彼の舌なのだ、という事を理解するのに数秒かかったほなみは、逃れようと身をよじった。
 彼の手は背中から腰に移動して、シャツの中に入ろうとしていた。

「……だっ……だめ!」

 必死に叫ぶと、手の力が若干緩み、西本が鋭く見つめた。
 その目がとても冷たい事に、言葉を失う。

「……あんた、これが望みなんじゃないの?わかってんだよ……」

 先程までの紳士的な振る舞いとは別人の様に、再びほなみを押さえ付け、首筋に唇を押し当ててきた。
 ほなみは、ぞくりと身を震わせたが、軽く耳をかじられ悲鳴を上げる。

「ねえ、ひょっとして、あんまり慣れてない?」

 からかうような声色で言われ、頬がかあっと熱くなった。
 彼の瞳が意地悪な色を帯びている。

「……それともアレか。慣れてないフリで男を喜ばせようって作戦?」

 ほなみは、カッとなり彼の頬を打った。
 西本は殴られた弾みで横を向き、数秒そのままでいたが、やがて呆気に取られた表情でほなみに向き直る。 
 ほなみは、落ちたチョコレートを拾い上げると彼に向かって投げ付けた。







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