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Love adventure
第45章 トロイメライは夢見心地で
中野の人の良い丸っこい笑顔が浮かび、鼻の奥がツンと痛くなったが、感傷よりも鉛の様な睡魔の方が勝ち、一瞬で眠りに落ちた。
――優しいピアノの音色が耳を擽る。
これは夢の中なのだろうか。
瞼の間から見えるのは、柔らかい陽射しが差し込む部屋で、鍵盤をつまびく綺麗な指。
真っすぐな髪から時折覗くキラキラした瞳。
――この曲は……トロイメライ。
けだるい意識を何とか半分起こし、ピアノを弾く彼に呼び掛けた。
「……おはよう……西君」
ピアノの音が途切れると、彼は立ち上がる。
いつも、目覚めには甘い口付けをくれる。
ほなみはそのつもりで、彼が頬に触れてくるのを待った。