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Love adventure
第45章 トロイメライは夢見心地で
「そんな風に露骨に警戒されると、虐めたくなるんだが」

 綾波はニヤリとすると、ベッドに近付いて来る。
 後ずさるが逃げ場が無い。
 しなやかな長い腕が伸びて来て、ほなみは身体を縮め、思わず瞼を閉じた。

「――冗談だ。この程度でそんな泣きそうな顔をするなよ」

 綾波の大きな掌が、頭を撫でていた。
 驚いて固まるほなみの事を、可笑しそうに口元を歪めて見つめている。

「……昨夜も、抱かれたのか」

 (――きた!)

 反射的に頬が熱くなる。

「いえ。昨夜は西君は先に眠りました……」
「で、寂しい女たちで夜な夜なパンをひたすら焼いてたのか」
「寂しいって……そんなんじゃないです!
 ……あぐりにも頼まれたし、皆に食べて欲しいし……綾波さん、にも……」

 そこまで言うと何故か言葉に詰まり、ますます顔が火照ってしまう。
 彼の鋭い視線を感じ、冷や汗まで出て来た。

「何故お前は、いちいち赤くなったり青くなったりする?」
「うっ……そんなに顔に出てますか?」

 綾波はこめかみに指をあて、苦笑した。

「まあ、お前に旦那を欺く演技は無理だな」
「綾波さんはまた別です……なんか緊張するし……こ、怖いし……」

 綾波の眉が上がり、ほなみの心臓が跳ね上がる。

「だけど……西君に、似てるから……何だか……」
「――」

 気が付くと、目の前に綾波が立っていて思わず悲鳴を上げた。



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