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Love adventure
第50章  貴方で満たして
 彼の髪がフワリと首にかかり、ゾクリと震えてしまう。
 しなやかな腕が、ほなみをそっと抱き締めていた。
 息が耳にかかりそれが刺激になり口から声が漏れる。

「あっ……ん」
「……!」

 彼が驚いた様に見たが、途端に妖しい光がその目に宿り、唇で触れるか触れないか程の愛撫を首筋に始める。

「やっ……あ」

 ほなみは、彼の上着をギュッとつかみ身を捩った。
 耳元で熱い溜め息を吐かれ、涼やかな声も、ほなみの全てを麻痺させる。

「少し触れただけだよ……凄いね……どうする?ほなみ……どうしたいの?」
「んんっ」

 顔が熱くて、目からは涙がいつの間にか溢れていた。

「ひと晩でも俺と離れたくなかった……?」

 西本が頬を両手で挟み魅惑的に囁いた時に、先程綾波に同じ様に触れられ、されたキスが甦った。

(思い出したらダメ――!)

 ほなみは、ふりきるように彼の首に両腕を廻し自分から口付けた。
 彼もほなみに応え、烈しく咥内を掻き回し、ふたりは長くお互いを貪った。
 ようやく離れた唇が、熱に痺れながら、まだ次のキスを求める。

「帰って来るまで待てないの……!抱いて……メチャメチャにして……っ」

 ほなみが譫言の様に口走ると、また唇を塞がれる。
 綾波の事も、智也の事も何もかも今は忘れたかった。
 全部を西本祐樹で一杯にしたい。
 階段の踊り場の片隅で、ふたりは狂った様に抱き締め合った――





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