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Love adventure
第1章 音符に乗って、君をさらいに行く
 なんだかんだ言って、好きなことをさせてもらっているのだから文句は言えない、と思う。
 あぐりには「あんたはゼータクなの!」とバッサリ言われて終わりだ。
 今日は‘’プロポーズ記念日‘’だが智也は帰ってこないし、連絡もない。 
 24歳で結婚してから4年目の今日も、こんな風に過ぎようとしていた。
 ほなみはブラインドを開けてまぶしさに目を細める。

(いいお天気だし散歩でもして来ようかな)

 何となくつけていたテレビを消そうとリモコンを手に取ったその時、弾むようなリズムの歌が流れ、画面にくぎ付けになる。

――どこの景色なんだろう。
 美しい夕焼けが映り込む湖畔で白のグランドピアノを立って弾いている男の子から目が離せない。
 時に身を屈め、鍵盤に指をたき付けるように曲を奏で歌っている……年齢は、多分20代なのだろうけれど「男の子」に見える。
 ドラム、ベース、ギターの人たちも居るが、ピアノが一番目立つ。 
 キラキラした笑顔を振りまきながら伸びやかにリズミカルに唄っている。

"君は 旋律(恋)を奏でた
 君は旋律(恋)を撒いた
 乾いた 砂に 染み込むように もっと もっと もっと欲しいよっ て
 泣いているようだよ"





 画面の字幕の歌詞が、メロディーと共に頭の中へガンガン入り込んでくる。
 寒気を覚え思わず腕を組んだ時、自分の肌が総毛立っていた。


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