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Love adventure
第8章 冷たい雪、熱い吐息
 浜田は、今度はドリンクコーナーのバーテンダーをつかまえて語っている。

「こっちです」

 野村に促され付いていくと、舞台裏で三広がおでこをおさえて呻いていた。
 機材を運ぶ時に周りをよく見ていなかったらしく西本と衝突したらしい。
 当の西本は平気な顔をしてピアノの鍵盤を布で拭いていた。
 亮介が心配そうに三広の側に付いて居る。
 ほなみは三広に駆け寄り顔をのぞき込んだ。

「大丈夫?ちょっと見せて?」
「大袈裟なんだよ三広は」

 西本がからかうように言った。
 その時バチッと視線が合ってしまい、たちまちほなみの頬が熱くなる。
 それを隠すように視線をそらし三広に「おでこを見たいから手をどけてくれませんか?」と言ったが、相当痛いのか、彼はおでこを手で隠したままだ。
「無理無理無理――!目から星が飛んでる――!祐樹は石頭だけど俺の頭は豆腐みたいに脆いんだ――デリケートなんだ――!」
「阿呆かっ!豆腐なら今頃ぐっちゃぐちゃになってるって!」

 西本が笑うと、三広は顔を青くした。

「ぐ……ぐちゃぐちゃ!?俺の頭、今どんなんなってるの――っ!?」

 亮介が落ち着かせようと「大丈夫だって」と声をかけるがまだ喚いている。

 ほなみは「頭が心配だったらちゃんと見せて!」と少し強く言い、三広のおでこに当てられた両手を強引につかんでどけた。
 そっと手を当てると、さっきまで喚いていた三広は途端に静かになり、ほなみを大きな目でまじまじと見つめている。

「……ちょっと膨らんでるわね。外にコブができるようなら多分大丈夫。少し擦り傷が出来てるから軟膏塗りますね」

 指でそっと軟膏を塗ると、三広の肌はまるで女の子みたいにスベスベで、嫉妬してしまいそうな程だった。 
 ふと視線を感じ、ちらっと目を向けると西本が鋭い目でほなみを見ていた。



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