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Love adventure
第8章 冷たい雪、熱い吐息
(なぜ、そんな怖い顔してるの?)

 ほなみは西本から目を逸らし三広のおでこに絆創膏を貼った。

「大丈夫だと思うけど、もし、気分が悪くなったりしたらちゃんと診てもらった方が……」

 三広の顔がみるみるうちに赤くなっていくのに気付き、熱でもあるのかと、おでこに再び触れようとしたが、三広は飛び退いてほなみから離れた。

「……あ、ありがとう……ほなみちゃ……ゲホッゲホッ」

 三広は苦しげにせき込む。

「三広、照れたな??中学生か!」

 亮介はひゅう、と口笛を吹き三広の背中を思いきり強くたたきからかった。

「いて――っ!亮介!マジで痛いぞ!」

 三広が怒り、蹴りを入れようと足を振り上げるが、亮介はヒラリとかわし、ほなみに耳打ちした。

「こいつは女みたいな顔してるけど中身は結構スケベだからね。気を付けるんだよ?」
「え、えええ?」
「……大丈夫そうだな。さて。片付けの続きをするか。ほなみさん、ありがとう」

 野村が、ぎゃんぎゃん騒いでいる三広を見て言った。

「いえ、私は何も」
「……ハヤシライスも、美味しかった」

 野村は深々とお辞儀すると、サッサとモップをフロアにかけはじめた。

「亮介……!変な事をほなみちゃんに吹き込むな!誤解を招く――!」
「変な事って?お前がムッツリだって事?」
「ムキ――っ違うわ――っ!」
「顔を赤くして怒ると猿みたいだぞ」
「なんだって――!?」

 二人は飽きもせずやり合っている。
 西本の姿が無い事に気づき、ほなみはキョロキョロした。
 舞台の裏、フロア、洗面所を廻って見たが居ない。
 彼の先程の表情がどうしても気になる。
 2階のカフェにいるかも知れない、と階段を上ると、カフェの前で、西本と星の王子のメンバーの女の子が一緒にいた。
 ――確か、真由(まゆ)という名前だ――彼女は涙ぐんでいる。
 真由の頭を彼が撫で、笑って何か言っているのを見た途端、ほなみの身体が冷たく固まった。





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