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Love adventure
第64章 夜明けの空は切ない色
 彼に悲しさを沈ませた優しい眼差しで見つめられながら頬を撫でられ、くすぐったかった。

「似てるな……撥ね付けられないくせに、俺の物にならないところ……とかな」
「――っ」

 ドキリとして目を逸らしてしまうが、顎を掴まれて見つめられる。
 壊れやすい装飾品を扱うかの様に、綾波はほなみの髪を指先ですいていた。
 しんとした真夜中の部屋でふたりきりで居るのは、会話が途切れてしまうと息をするのにも緊張が伴う。
 綾波は飽きる様子もなくほなみの髪を弄んでいる。

「あ、あの……お母さんとは……」

 ほなみは、そこまで言いかけて詰まってしまった。

「……気になるか?」

 綾波は、少しからかうような口調だった。

「……」

 ほなみが押し黙ると、綾波は少し遠い目をする。

「俺が二十歳の夏の日に、あの人が来てな……
 なるべく鉢合わせしないようにあの人も居ない時を見計らって来ていたが、あの日は……会っちまったんだよ」
「……」


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