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Love adventure
第9章 雷鳴と
 ほなみの声は、気が動転して裏返っていた。
 ドアをバターンと閉めると、向こうで彼が可笑しそうに笑っているのが聞こえる。

( 西君が私のマンションでお風呂に入っていて、私はスープを煮込んでいるなんて……)

 現実感が無くて不思議だ。
 昨日までは、彼の存在さえ知らなかったのに。
 結婚してから、智也以外の男性とふたりきりになる事など初めてだ。

(私は一体どうするつもりなのだろう……)

 室内が稲光にカッと照らされ、考え事は中断される。
 ブラインドを指で恐る恐る開けると、遠くで稲妻が墜ちるのが見えた。

「遠くから見れば綺麗なのに……」





「雷、綺麗だよね」

 いつの間にか、彼が真後ろに居て、ほなみは小さく叫ぶ。

「お風呂気持ちよかったよ。ありがとう。」

 彼は石鹸の香りを漂わせている。濡れた髪から水が頬に滴っていた。
 ほなみはタオルで彼の濡れた髪を拭った。

「まだ濡れてるじゃない。ちゃんと拭かないと……」
「お母さんみたいだな」
「こんな悪い子のお母さんになった覚えはありません」
「酷いなあ」

 髪を拭きながら、意外と太い首周りや突き出た喉仏が目に入りドギマギした。

 彼も、じっとほなみを見ている。
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