この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Love adventure
第67章 Marry Me②

「もう、身体はいいのか?」
「……うん」
稲川はあぐりを抱き締めたまま髪を撫でた。
「よく来てくれたね……」
あぐりは腕の中で、彼の低くハスキーな甘い声をうっとりと噛み締める。
歌声も好きだが、話し声も大好きだ。
ベッドで愛する時に時折漏らす苦しそうな声も。
そっと目元に触れると、大きな黒目があぐりを真っ直ぐに見つめている。
「……こうしてライブに呼んでもらえるの……
何十回目……ううん、何百回目かしら」
「覚えてるよ……今でも。初めて会った時の夜……」
「私、初めて稲川さんを近くで見た時……ごめん。正直に言うね?
"意外と小っさ!"て思った!うふふ」
「酷いな~でもあぐりにも相当俺、びっくりしたぞ?
ずーっとしおらしくライブ見てたお嬢さんがさあ~
『なんじゃワレー!』て大立ち回りしてるなんて……」
「え~!そこまで酷くないでしょ~!?」
「違ったっけ?」
転がすような声でふたりは笑い合った。

