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Love adventure
第70章 エンゲージ

「素敵だよ……」
「ありがとう……」
彼の頬に軽く唇で触れると、しなやかな腕がほなみを抱きしめる。
「うん、そうだよな。
まだ色々と片付いてないし……」
あたたかい胸の中、彼がぶつぶつと呟くのを、ほなみは幸福な気持ちで聞いていた。
「指環は……またの楽しみに取っておこうか?」
「うん」
額を付け合ったまま見つめ合い、唇を重ねるとベッドに倒れ込む。
一日中、ふたりはお互いを確かめ合い奪い合い、欲望をぶつけ合い愛の言葉を沢山ベッドの中で生み出した。
明日、どんな事が起こるか分からない。
でも今は――
日が暮れ始めた頃、ふたりが居る部屋の窓を、下からじっと睨む中野の姿があった。
彼の表情からは、人の良い笑顔は跡形もなく消え去っていた。

