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Love adventure
第10章 光と影と痛み
幾度と無く、部屋が閃光で明るく照らし出され、雷鳴が再びドーンと轟く。
ほなみは、かたく耳を塞いだまま西本に抱き締められながら、中学の時のある夜の出来事を思い出していた。
―――――――――――――
ほなみは5時限目の数学の授業を受けていた。
午後の授業、しかも苦手な教科の数学で、頭の中が一向に回転しない。
理解できない数式を見ているだけで猛烈に眠気を誘う。
眠ってしまわないように、色々な事を考えた。
(―― そういえば、上級生の「村上君」から手紙を貰ったんだった)
ほなみは、手紙をポケットから出し、こっそり読んだ。
『仁科(にしな)ほなみ様。放課後君が音楽室でピアノを弾いている姿を見て、好きになってしまいました。
君と話をした事は一度もありません。君もきっと僕の事は知らないと思います。
知らない奴からこんな事を言われてびっくりしたと思いますが、まずは僕と友達になって、僕の事をを知って欲しいと思います。
来週の水曜の放課後、音楽室に来てください。待っています。』
男の子から手紙を貰ったのは初めてだった。
あぐりに手紙を見せると、彼女は目を輝かせた。
「村上って、3年に2人いるよね?
眼鏡かけた秀才君とサッカー部の部長!……わーお!どっちもカッコイイじゃん!やったね?!」
「声が大きいってば!」
ほなみは、あぐりの口を慌てて塞いだ。
「……女の声は耳にキンキン響くな」
智也が移動教室から戻ってきて、静かな物腰で着席し、言った。
「何よ?智也。私だって好きな男の子の前じゃ、おしとやかにしてるわよ!」
あぐりが口を尖らせる。
「ふうん、そうなのか……仁科もそうなの?」
話を振られ、ほなみは首を傾げた。
「好きな人が居ないから、よく分からない」
智也は形の良い眉をわずかに動かし、ほなみをじっと見た。
「ほなみ、あんた来週、音楽室行く?勿論行くわよねっ?」
「……うーんどうしようかな……緊張するし……やめようかな」
鼻息荒く聞いてくるあぐりに、ほなみは曖昧に答える。
ほなみは、かたく耳を塞いだまま西本に抱き締められながら、中学の時のある夜の出来事を思い出していた。
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ほなみは5時限目の数学の授業を受けていた。
午後の授業、しかも苦手な教科の数学で、頭の中が一向に回転しない。
理解できない数式を見ているだけで猛烈に眠気を誘う。
眠ってしまわないように、色々な事を考えた。
(―― そういえば、上級生の「村上君」から手紙を貰ったんだった)
ほなみは、手紙をポケットから出し、こっそり読んだ。
『仁科(にしな)ほなみ様。放課後君が音楽室でピアノを弾いている姿を見て、好きになってしまいました。
君と話をした事は一度もありません。君もきっと僕の事は知らないと思います。
知らない奴からこんな事を言われてびっくりしたと思いますが、まずは僕と友達になって、僕の事をを知って欲しいと思います。
来週の水曜の放課後、音楽室に来てください。待っています。』
男の子から手紙を貰ったのは初めてだった。
あぐりに手紙を見せると、彼女は目を輝かせた。
「村上って、3年に2人いるよね?
眼鏡かけた秀才君とサッカー部の部長!……わーお!どっちもカッコイイじゃん!やったね?!」
「声が大きいってば!」
ほなみは、あぐりの口を慌てて塞いだ。
「……女の声は耳にキンキン響くな」
智也が移動教室から戻ってきて、静かな物腰で着席し、言った。
「何よ?智也。私だって好きな男の子の前じゃ、おしとやかにしてるわよ!」
あぐりが口を尖らせる。
「ふうん、そうなのか……仁科もそうなの?」
話を振られ、ほなみは首を傾げた。
「好きな人が居ないから、よく分からない」
智也は形の良い眉をわずかに動かし、ほなみをじっと見た。
「ほなみ、あんた来週、音楽室行く?勿論行くわよねっ?」
「……うーんどうしようかな……緊張するし……やめようかな」
鼻息荒く聞いてくるあぐりに、ほなみは曖昧に答える。