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Love adventure
第10章 光と影と痛み
「何言ってるの!行かなきゃダメよっ!」
「ええっ?」
智也は、ほなみとあぐりがキャーキャー騒ぐのを黙って聞いていた。
やがて大きく息を吐き、
「……何だか知らないが、好きにすればいいだろう」とクールに言うと、机の中から参考書を出して、何やらブツブツと単語の復唱を始めた。
ほなみは、今日がその日である事をいまさら思い出す。
(――何も考えてなかった。どうしよう)
視線を感じて横を向くと智也がこちらを見ていた。
目が合うと、彼は微笑を浮かべ、顔をそらし教科書に目を落とす。
すると、教室の戸がガラッと開けられ、クラス全員がそちらへ注目した。
教頭が担任とヒソヒソと何か話していたが、担任が
「仁科。ちょっとこちらへ来なさい」とほなみを手招きする。
何事かとドキドキしながら先生の側に行くと、静かにこう言われた。
「ご両親が交通事故に遭って手術を受けているらしい。教頭先生が病院に連れて行って下さるから、今すぐ帰る支度をしなさい。」
2時間後、ほなみは総合病院の手術室の前の固い椅子に座り『手術中』という赤く照らされた文字を見つめていた。
教頭先生は『知らせる身内、親戚はいないのか』と聞いてきたが、両親は駆け落ちも同然の結婚で、親類とは連絡を一切取っていない。ほなみもその辺の事情はよく知らない。
「ええっ?」
智也は、ほなみとあぐりがキャーキャー騒ぐのを黙って聞いていた。
やがて大きく息を吐き、
「……何だか知らないが、好きにすればいいだろう」とクールに言うと、机の中から参考書を出して、何やらブツブツと単語の復唱を始めた。
ほなみは、今日がその日である事をいまさら思い出す。
(――何も考えてなかった。どうしよう)
視線を感じて横を向くと智也がこちらを見ていた。
目が合うと、彼は微笑を浮かべ、顔をそらし教科書に目を落とす。
すると、教室の戸がガラッと開けられ、クラス全員がそちらへ注目した。
教頭が担任とヒソヒソと何か話していたが、担任が
「仁科。ちょっとこちらへ来なさい」とほなみを手招きする。
何事かとドキドキしながら先生の側に行くと、静かにこう言われた。
「ご両親が交通事故に遭って手術を受けているらしい。教頭先生が病院に連れて行って下さるから、今すぐ帰る支度をしなさい。」
2時間後、ほなみは総合病院の手術室の前の固い椅子に座り『手術中』という赤く照らされた文字を見つめていた。
教頭先生は『知らせる身内、親戚はいないのか』と聞いてきたが、両親は駆け落ちも同然の結婚で、親類とは連絡を一切取っていない。ほなみもその辺の事情はよく知らない。