この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Love adventure
第73章 邂逅

岸コーポレーション本社。
結婚するまで働き、両親と共に新潟から引っ越して来た時から度々遊びに来ていた場所ーー
ほなみにとっては慣れ親しんだ場所だが、今日は足を踏み入れるのに緊張してしまう。
孤児になった自分を何の不自由も無く育て、智也と結婚してからも気遣ってくれた――
そんな智也の両親に恩を仇で返す形になり、申し訳無く思うが、どうしようもないのだ。
智也も冷たい様に見える人だが、今では彼の優しさが分かるような気がする。
(……きっと私は、私が思うより、大切にされていたんだ……)
『智也君が君をどんなに愛してきたか――守ってきたか!』
「中野さん……」
中野の言葉を思い出し、車内の後部席でほなみは呟いた。
「あのオッサンか。まあ、怪我はしてないだろうよ」
助手席の綾波が呟き、ついドキリとしたが、隣の西本にギュッと手を握られる。
彼は"俺を見ていろ"とでも言いたげな目だ。

