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Love adventure
第73章 邂逅

「こんにちは――っ」
元気な声をあげ、会社の玄関から女の子がバタバタと走ってくる。
「カナちゃん!」
ほなみは見知った顔になんだかホッとした。
総務課の東野カナは息を切らして立ち止まり、深呼吸してからペコリとお辞儀をした。
「ほなみさん、クレッシェンドの皆様、ようこそいらっしゃいました!
こちらにどうぞ」
カナに先導されて中庭を通りロビーへ案内されるが、社内はガランとしていた。
「今日は臨時でお休みになったんです」
「そうなんだね……」
「智也さん、もう少しかかるらしいので、少しお待ち下さい!
今お茶を淹れますので」
カナは巻き毛を揺らしながら、せっかちな足取りで給湯室へ消えた。
応接コーナーのソファに座り、三広と亮介は落ち着き無くョロキョロしているが、綾波はゆったりと腰掛け、優美ささえ感じる笑みをほなみに向る。
「……大丈夫だ。皆がいるからな」
「は、はい」
「俺だっているからな!ほなみっ!」
西本がほなみの頬に手を添えて彼の方を向かせ、真剣に見つめると、ほなみは笑い返した。
「うん……
西君が側に居るから、大丈夫……」

