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第73章 邂逅

　チクタクチクタク……
　ロビーに、秒針の音が異様に大きく響いていた。

｢ああ―――――！｣
｢わ――――――！｣

　三広がいきなり頭をかきむしり喚き、それに驚いた亮介までが叫んだ。

｢ーーなんなんだお前らっ｣

　綾波がふたりの頭を思いきりシバいた。

｢だって――緊張すんだよおおっふぐっ！｣
｢この空気に耐えられない――ギャアっぐっ｣

　ふたりの口を綾波は押さえて黙らせる。
　野村は外の庭を眺めて何やら考え事をしている様に見えた。

｢俺、負けないから｣

　西本が、ほなみの手を強く握る。

｢うん……｣

　その時、ドアが開き、カツカツと硬質な音を立てて智也が悠然と入ってきた。
　カナが盆に飲み物を載せて後ろからついてくる。
　ほなみと智也の視線がぶつかった。
　彼のその瞳は相変わらず理知的に輝いている。