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Love adventure
第78章 急転

中野は、打たれた手をもう片方の手で押さえ、膝をついて項垂れた。
西本が近付き、ニッコリ笑い手を差し出した。
中野はその手を無言で見た。
「バカな事をしないで済んで良かった……
あんたが何かやったら、ほなみだって悲しむんだよ?」
西本は屈託なく笑う。
「西君……」
ほなみと西本が笑い合うのを見て、綾波が呆れる。
「祐樹!お前は人が良いというかバカか――!
俺は人違いでこのオッサンに刺されたんだからな!」
「あ~、そういやそうだったな」
「お前なあ!」
ふたりが言い合う中、智也はカナを離し、中野に声をかけた。
「中野さん……さあこちらへ……?…」
智也が何か異変を察知したように体を強ばらせた。
目の前の出来事が、スローモーションになっている。
項垂れて大人しくしていたかの様に見えた中野の口元が歪み、ズボンのポケットから光る物を出した瞬間を見たのだ。
中野は叫びながら西本にそれを振り降ろす。
それがナイフだと判った時、智也は飛び出したが、それよりも早くほなみが中野と西本の間に割って入っていた。
「――――!」
瞬間、空気が凍り付き、鈍い音と共にほなみの身体は崩れ落ちる。
西本が目の前で倒れたほなみを抱き起こすと、その手が鮮血で染まっていく。
「ほなみ――!」
「ほなみちゃん!」
「ほなみさん!」
「この野郎――!」
綾波が中野を取り押さえ殴り付けた。
「救急車だ!救急車を――!」
浜田が飛んで行く。
智也もほなみに駆け寄りその手を握り締めた。
「ほなみ……ほなみっ!」
西本の涙が、血の気を失ったほなみの頬に落ちた。
ほなみは微笑して、唇を僅かに動かしたが、何かを言う前にガクリと身体の力が抜け、白い手が床に垂れた。
「――ほなみ……ほなみ!戻ってこい……!ほなみ――!」
西本の絶叫が悲しげに響いた。
西本が近付き、ニッコリ笑い手を差し出した。
中野はその手を無言で見た。
「バカな事をしないで済んで良かった……
あんたが何かやったら、ほなみだって悲しむんだよ?」
西本は屈託なく笑う。
「西君……」
ほなみと西本が笑い合うのを見て、綾波が呆れる。
「祐樹!お前は人が良いというかバカか――!
俺は人違いでこのオッサンに刺されたんだからな!」
「あ~、そういやそうだったな」
「お前なあ!」
ふたりが言い合う中、智也はカナを離し、中野に声をかけた。
「中野さん……さあこちらへ……?…」
智也が何か異変を察知したように体を強ばらせた。
目の前の出来事が、スローモーションになっている。
項垂れて大人しくしていたかの様に見えた中野の口元が歪み、ズボンのポケットから光る物を出した瞬間を見たのだ。
中野は叫びながら西本にそれを振り降ろす。
それがナイフだと判った時、智也は飛び出したが、それよりも早くほなみが中野と西本の間に割って入っていた。
「――――!」
瞬間、空気が凍り付き、鈍い音と共にほなみの身体は崩れ落ちる。
西本が目の前で倒れたほなみを抱き起こすと、その手が鮮血で染まっていく。
「ほなみ――!」
「ほなみちゃん!」
「ほなみさん!」
「この野郎――!」
綾波が中野を取り押さえ殴り付けた。
「救急車だ!救急車を――!」
浜田が飛んで行く。
智也もほなみに駆け寄りその手を握り締めた。
「ほなみ……ほなみっ!」
西本の涙が、血の気を失ったほなみの頬に落ちた。
ほなみは微笑して、唇を僅かに動かしたが、何かを言う前にガクリと身体の力が抜け、白い手が床に垂れた。
「――ほなみ……ほなみ!戻ってこい……!ほなみ――!」
西本の絶叫が悲しげに響いた。

