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第1章 最悪の卒業式

高級イタリアンで食事した帰り道

気持ちよくて少し散歩しようということになった

私たちは確かに青信号で横断歩道を渡ってた

皆で手を繋いで歩いてた

そこにスポーツカーが爆音を鳴らして向かってきた

お父さんが叫んだ

「咲危ない!!」

私だけ押されてお父さんとお母さんに手を離された

二人の身体がボールのように飛んで弾んで
地面に叩きつけられた

「きゃあああああぁぁー！！！っ」

近くにいた人達も叫び声をあげてた

車は止まることもなく凄い勢いで走り去っていった

横たわったままのお父さんとお母さん

ドクドクと流れ出す血の海にひたすら二人を呼び続けた

「お…お父さん!!お母さん!!
いやだ！いやだ！！こんなの
お父さん!!お母さん!!
目を開けて…！」

涙が蛇口をひねったみたいに流れ出して
二人が見えないくらい

「…さ……き」

かすかにお父さんの声が聞こえた

「ﾋｯｸ…お父さん！しっかりしてー！」

血だらけの手を両手で掴んで頬にあてた

お父さんの目から涙が溢れていた

次の瞬間にはゆっくり瞼が閉じてしまった

「いやだー！目を開けて、おとぉ…さん！
お父さん！お願い、死んだらやだよー！…ｳｯ…ｸﾞｽ」

頭から血を流してるお父さんの顔をゆすって
瞼を開けようとしたけど開かない

「お母さん!!お父さん!!死んじゃいやー！
咲をおいていかないで、一人にしないで
有難うも言ってないよ」

回りでは、早く救急車呼んで!!という怒鳴り声が響いてる

二人にしがみついて頭がおかしくなるくらいに泣き叫んだ