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愛姫のあぶない投資性活
第1章 私、白石愛姫(しらいしあい)
私、白石愛姫。28歳。職業は起業家。…というと聞こえはいいけれど、やっていることは株式のデイトレード。

毎日、前場と後場、つまり午前のとお昼休みを挟んで午後の市場が開いている一日の間に、ネット証券会社を通し、手数料の安い10万円以下の取り引きを繰り返し、利鞘を積み重ね日銭を稼ぐ個人株屋。

以前は大手の住宅設備メーカーに勤めて普通にOLをしていたけど、なかなかお給料は上がらないし、プライベートな恋愛もうまくいかない。安定はしているけれど…。

やがて平凡な毎日がちょっと退屈になり、5年勤めて、一般の顧客や、下請けの現場建設会社の営業担当相手のチーフアドバイザーの地位に就いてはいたけれど、思い切って退職してしまった。

もちろん、リーマンショック以降、株式投資は危険視されていた。

でもリスクを伴わない、転職なんてサクセスもないわけだから、この世界に身を投じた。

地方に住む両親や東京で生活してる兄弟には、もちろん内緒で…。

一応、関連企業に再就職したことにしてるんだけど、ちょっとトレードで、売りタイミングを逃して日延べして、スウィングトレードといって、その日に売り抜かないで持ち越しちゃったら、株価が急落して大損してしまった。

(このままじゃ、貯金をすべて切り崩してしまう…。)

私は焦り始めた。

デイトレードを始めて、3ヶ月。それ以前のOL時代から、ゲームを使ったり、書籍を読み漁ったり、かなり勉強と訓練は重ねたつもりだったけど、1番収益を積み上げられた日で、一日3万円程度。

一見良さそうだけど、会社を止めた今は、国民年金だし、健康保険も国保だし、企業や団体のように福利厚生はないから、月収に換算すると、OL時代と大差なくて、売り買いでかなり神経を擦り減らして、精神的にへとへとになる分、OL時代の方が気楽だった。

でも平凡なのはつまらない。この葛藤だけは、私は耐えられなくて、今の生活を選んだから、後悔はしていない。

ただ投資家から資金を集めて、大口の取り引きをしながら、ビッグチャンスを狙えるファンドマネージメントができるようになるまでは、夢のまた夢みたいなもの。

やっぱり、出資者がいてくれたらなぁ。と願いつつ、実績のない私じゃ無理なのか。なんて右往左往しながら、ある人が頭の中に浮上した。

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