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作品集
第12章 平成28年4月度
◆松沢 成文(著)の
教養として知っておきたい二宮尊徳
尊徳の考えである
「報徳思考」、朽ちあせることのない真理です。
分かりやすく「報徳思想」を解説されています。
●何ごとを成し遂げるにも、まず本人のヤル気を起こさせることが始まりであり、それによって1人ひとりが自立できる基盤を育成することができる。
これを「心田開発」という。尊徳は「芋こじ」という寄合を繰り返すことによって、まじめに取り組んでいる農民を秤取押し、怠惰な者に対しては心改めるよう指導した。
人びとの意識を変えることによって改革を進める
「心田開発」こそ、報徳仕法の原動力なのである。
封建時代のなかにあって、このように尊徳は極めて独創的で民主的な手法で農民を指導していったのである。
※「芋こじ」というのは、そもそもは桶に里芋を入れ、棒をかき回すことをいう。これで土がとれ皮がはがれてきれいな芋になるように、話し合いを徹底することにより合意が得られることから、この名を付けたそうだ。
●わが道は勤倹譲の3つにある。
勤とは、衣食住になるべき物品を勤めて産出することをいう。
倹とは、産出した物品をむやみに費やさないことをいう。
譲とは、衣食住の3つを他に及ぼすことをいう。
この譲には、いろいろある。今年のモノを来年のためにたくわえるのも譲だ。
それから子孫に譲るのと、親せき友人に譲るのと、国家に譲るのとがある。
その身その身の分限によって、つとめて行うべきだ。たとい一季半季の雇人でも、今年の物を来年に譲るのと、子孫に譲るのとの譲りは、必ずとつめるのがよい。この勤倹譲の3つは、かなえの3本足のようなもので、1つでも欠けてはならない。