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作品集
第12章 平成28年4月度
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◆「名誉や利益だけのために生きる人には『誠実さ』というものがない(意訳)」

江戸時代初期の禅僧である鈴木正三(しょうさん)の言葉です。
「名誉を得たい」という欲に心をとらわれると、人は平気で嘘をつくようになります。「利益を得たい」という欲に、我を忘れてしまった人も同じです。
自分の名誉や利益を得るためには、他人をおとしいれたり、だましたり、汚い手を使っても、たとえ人を傷つけることがあっても平気です。このような心の状態を、鈴木正三は「誠実さがない」とのべているのです。では、誠実さを失った生き方を続けると、その人はどうなってしまうでしょう。人のうらみを買い、敵を増やし、周囲の人たちからは悪口をいわれます。苦境に立てば侮蔑(ぶべつ)され、孤立無援の中でもがき苦しむことになります。
仏教的ないい方をすれば、地獄の責め苦を味わいながら、生きていくことになるのです。
平気で嘘をつき、他人をおとしいれるような人は、
身勝手な欲望に心をとらわれ、それが自分を苦しめることにも、気づくことができません。
競争社会に生きていれば、名誉や利益を得ることは、ひとつの目標にはなりますが、同時に「誠実」に生きることを忘れてはいけません。こうした欲望にとらわれた人に、心を乱されることがあっても、自分が正直に生きてさえいれば、心の平穏はかならず取り戻せます。

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