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作品集
第15章 平成28年7月
ご存じですか…?

■二宮尊徳翁がおもしろいたとえ話をしています。

田舎(いなか)から二人の若者が花のお江戸に仕事を求めて出てきました。

そうしますと、江戸では、街角で一杯の水を売っている人がいます。
二人はそれを見て驚きます。
しかし、その二人の驚き方が異なるのです。

一人の若者は、“なんと、江戸では一杯の水も金を払わないと手に入らないのか。このようなところではとうてい住みつづけることはできない”と、気を落として田舎に帰ってしまう。

ところが
もう一人の若者は、
“これはおもしろい。江戸では一杯の水を売ってさえ商売ができるのか。知恵を働かせば、商売の道は無限だな”と
、胸をおどらせて江戸に残ることにした、というのです。
一杯の水を売っているという事実は一つですが、その見方はいろいろあり、

悲観的に見ますと、心がしぼみ絶望へと通じてしまいます。しかし、

楽観的に見るなら、心が躍動し、さまざまな知恵や才覚がわいてくる、ということを尊徳翁はいいたかったのでしょう。

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