この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
作品集
第4章 平成27年7月…
素晴らしいと思いました。
◆『人生二度なし』より
人は、何のためにこの世の生をいきるのか…
この問題は、古来幾多の人びとが、限りなく問い、
かつ答えてきた人類の永遠な課題といってよいでしょう。
実さいこの問題ほど、われわれ人間にとって、深い関心の対象となった問題はないとともに、またこの問題ほど、人類が、その解答に苦しんだ問題もないといえましょう。
では、このような立場から先にかかげた「人は何のために生きるか」という問題に対して、現在のわたくしは、どのように考えているかというのに、それは一口で申せば、人は自分の仕事(職業)を通して、多少とも人のため社会のため尽くすところに、その人のこの世に生きる意義はあると考えるようになったのです。しかし、このように申したら、人々の多くは「何というわかり切ったことを言う人間か」と思われるばかりか、その余りの平凡さに、軽べつの念さえ抱かされるかとも思います。
それの分からないわたくしでもありません。
しかしそれが、わたくしにとっては、今や人生の終末期にあたってついにたどりついたものである以上、人からどう思われようと致し方がないと思うのです。
なるほど、青春期にある人びとにとっては、人生の意義とか、人間の生き方などというと、いかにも高遠なもの崇高なもののように考えがちだろうと思います。現に、わたくし自身も、かつて若き日にはそうでしたから、まったく無理のないことだと思います。
しかし現在のわたしくしから考えれば、いかに高遠な理想でも、もしそれが、現在の自分の生活から、まったくかけ離れたものだったとしたら、それはたんなる観念的なあこがれにしか過ぎないと思うのです。
もちろんわたくしとても、若い人びとが、心の中にそのような一種のあこがれをもつということを無意味だとは思いませんが、同時にまた、わたくしには、そうした人生へのあこがれは、なんらかの意味で、現在の自分の生活との間に、つながりをもつ必要があると思うのです。
◆『人生二度なし』より
人は、何のためにこの世の生をいきるのか…
この問題は、古来幾多の人びとが、限りなく問い、
かつ答えてきた人類の永遠な課題といってよいでしょう。
実さいこの問題ほど、われわれ人間にとって、深い関心の対象となった問題はないとともに、またこの問題ほど、人類が、その解答に苦しんだ問題もないといえましょう。
では、このような立場から先にかかげた「人は何のために生きるか」という問題に対して、現在のわたくしは、どのように考えているかというのに、それは一口で申せば、人は自分の仕事(職業)を通して、多少とも人のため社会のため尽くすところに、その人のこの世に生きる意義はあると考えるようになったのです。しかし、このように申したら、人々の多くは「何というわかり切ったことを言う人間か」と思われるばかりか、その余りの平凡さに、軽べつの念さえ抱かされるかとも思います。
それの分からないわたくしでもありません。
しかしそれが、わたくしにとっては、今や人生の終末期にあたってついにたどりついたものである以上、人からどう思われようと致し方がないと思うのです。
なるほど、青春期にある人びとにとっては、人生の意義とか、人間の生き方などというと、いかにも高遠なもの崇高なもののように考えがちだろうと思います。現に、わたくし自身も、かつて若き日にはそうでしたから、まったく無理のないことだと思います。
しかし現在のわたしくしから考えれば、いかに高遠な理想でも、もしそれが、現在の自分の生活から、まったくかけ離れたものだったとしたら、それはたんなる観念的なあこがれにしか過ぎないと思うのです。
もちろんわたくしとても、若い人びとが、心の中にそのような一種のあこがれをもつということを無意味だとは思いませんが、同時にまた、わたくしには、そうした人生へのあこがれは、なんらかの意味で、現在の自分の生活との間に、つながりをもつ必要があると思うのです。