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作品集
第8章 平成27年12月度
素晴らしいメールを紹介します。
◆「大西郷遺訓」より
戊辰戦争の時に、官軍が東北征伐に行って、会津城を十重二十重に取り囲んだ。精悍無比を誇る会津藩士も、さすがに支えかねて、
孤城落日の有様となった時のことじゃ。
城外に、ある豪農があった。それが官軍の重囲を潜って、深夜ひそかに糧食を城内に運んでおった。
今日は落ちるか、
明日は落ちるかと思われたものが、これがために数日を支えていたのじゃ。
それが遂に官軍の知るところとなって、農夫は捕らえられたが、彼が官軍の将士に向かって言うたことに、「一椀の食、一滴の水を飲んでも、恩は恩である。
然るに自分が祖先代々からして安穏に暮らすことが出来るのは、山海の鴻恩(大きな恩恵の意)と言わねばなりません。
その藩主が今は朝敵の名を蒙っているとはいえ、今日のような悲況に陥られているのを見て、安閑(何もしないで、ぼんやりしている様)としていることは出来ません。
身はしがなき百姓でも、
主恩を蒙ることは士班の人々と変わりありません。
今が御恩の報じ時と存じ、食を城中に送ったのでござります」
◆「大西郷遺訓」より
戊辰戦争の時に、官軍が東北征伐に行って、会津城を十重二十重に取り囲んだ。精悍無比を誇る会津藩士も、さすがに支えかねて、
孤城落日の有様となった時のことじゃ。
城外に、ある豪農があった。それが官軍の重囲を潜って、深夜ひそかに糧食を城内に運んでおった。
今日は落ちるか、
明日は落ちるかと思われたものが、これがために数日を支えていたのじゃ。
それが遂に官軍の知るところとなって、農夫は捕らえられたが、彼が官軍の将士に向かって言うたことに、「一椀の食、一滴の水を飲んでも、恩は恩である。
然るに自分が祖先代々からして安穏に暮らすことが出来るのは、山海の鴻恩(大きな恩恵の意)と言わねばなりません。
その藩主が今は朝敵の名を蒙っているとはいえ、今日のような悲況に陥られているのを見て、安閑(何もしないで、ぼんやりしている様)としていることは出来ません。
身はしがなき百姓でも、
主恩を蒙ることは士班の人々と変わりありません。
今が御恩の報じ時と存じ、食を城中に送ったのでござります」