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作品集
第8章 平成27年12月度
ご存じですか…?

■現在、サクラと言えば、何はなくとも
「ソメイヨシノ」である。しかし、

ソメイヨシノが誕生したのは、江戸時代中期の
1750年頃のこと。
ソメイヨシノは、サクラの歴史の中では比較的、新しい品種なのである。
ソメイヨシノは、
エドヒガン系のサクラと
オオシマザクラの交配で生まれたとされている。
園芸の盛んだった江戸の
染井村(現在の東京都豊島区駒込)では、植木業者が「吉野桜」と呼んで売り出した。奈良の吉野山はサクラの名所として有名である。ただし、吉野山のサクラはヤマザクラであり、
ソメイヨシノは吉野の
サクラとはまったく関係がない。つまり、「吉野」というブランドを借りてPRしたのである。現在でも、「ナポリタンスパゲティ」や「アメリカンコーヒー」のように、まったく関係のない土地を冠したネーミングがあるが、これと似たようなものかもしれない。
ソメイヨシノも「吉野桜」というネーミングが受けて、広まっていくのである。しかし、明治時代になって上野公園のサクラの調査が行われたとき、学者たちは「吉野桜の並木」に植えられたサクラが、吉野のヤマザクラとはまったく違うことを発見する。そして、

「染井村で作られた吉野の桜」という意味でソメイヨシノと名付けられた。

ソメイヨシノという名前は、明治になって付けられた名前だったのである。

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