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白い背中と君の藍
第6章 アメジスト◇束縛の印
深い、深い――――紅の石。
「誰のなんだろ……」
初体験の歓びを簡単に掻き消した『深紅のピアス』。
あのピアスを見てからずっと頭から離れないでいた。
洗面台の所に置いてあったなら、シャワーとか使った人かもしれない。
忘れ物だとしても置いたままにしてあるのは、また鳥羽さんの所に来るからじゃないかな?
冗談ぽく鳥羽さんに聞いてみたかったけど、私たちの関係はまだ曖昧なのに深い話は踏み込めないと思った。
ずっと胸がモヤモヤして、自分の気持ちも未だに伝えられないまま、今日も鳥羽さんの所に向かう。
自転車のカゴに乗せたバッグの中から、スマートフォンを取り出して時間を確認する。
約束の時間には、まだ少し早い。
鳥羽さんは何故か連絡を取るツールを持っていなかった。
だからなるべく時間通りにアパートに着くようにしている。
自転車に乗って行くと早く着いてしまうから、遠回りしながらハンドルを押していく。
湿度を感じる空気が纏わりついて、肌が薄い膜に覆われたみたいで息苦しい。
「はぁ……今日も暑いな」
スマホをバッグに戻してペットボトルに持ち替えると、中の荷物が揺れて――――
カシャ……
買ってきた避妊薬の音が微かに聞こえた。
「誰のなんだろ……」
初体験の歓びを簡単に掻き消した『深紅のピアス』。
あのピアスを見てからずっと頭から離れないでいた。
洗面台の所に置いてあったなら、シャワーとか使った人かもしれない。
忘れ物だとしても置いたままにしてあるのは、また鳥羽さんの所に来るからじゃないかな?
冗談ぽく鳥羽さんに聞いてみたかったけど、私たちの関係はまだ曖昧なのに深い話は踏み込めないと思った。
ずっと胸がモヤモヤして、自分の気持ちも未だに伝えられないまま、今日も鳥羽さんの所に向かう。
自転車のカゴに乗せたバッグの中から、スマートフォンを取り出して時間を確認する。
約束の時間には、まだ少し早い。
鳥羽さんは何故か連絡を取るツールを持っていなかった。
だからなるべく時間通りにアパートに着くようにしている。
自転車に乗って行くと早く着いてしまうから、遠回りしながらハンドルを押していく。
湿度を感じる空気が纏わりついて、肌が薄い膜に覆われたみたいで息苦しい。
「はぁ……今日も暑いな」
スマホをバッグに戻してペットボトルに持ち替えると、中の荷物が揺れて――――
カシャ……
買ってきた避妊薬の音が微かに聞こえた。