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白い背中と君の藍
第2章 タンジェリン◇もっと知りたい
話したいな――――。

暑さからか……
緊張からか……

ゴクリと唾を飲み込んだ。


梅雨が明けて、夏になる季節。

長くなっている日照時間は、空に黄金のベールを引いている。

生温い風が吹いて、頬を撫でた。

近いようで遠い……

遠いようで近い距離なのに、男性は私の存在に全く気づかない。

何だかちょっと、寂しいな。

少しでも顔を動かしてくれたら、私が視界に入るのに……
などと思ってしまったけど

「あ……れ?」

余りにも動かない男性に、少し違和感を感じた。

私だけではなく、道行く人、こどもたちのはしゃぐ声、通りを走る車の音にも反応していない。

凄い集中力だな!

単純な性格故か、芸術家の性分だと思って感動してしまいそうになった時だった――――

「え……?」

男性は急に苦しそうに顔を歪めた。

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