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白い背中と君の藍
第7章 ブラック◆消えて…
ノブを回して扉を押す。

ギギギィ…………

ゆっくりと開けると、建て付けが悪いのか軋んだ音が響く。

まだ外は明るいのに、まるでお化け屋敷でも入るみたいな緊張感が背中に走る。

「孝秀……いる……?」

扉を開け切る前に孝秀に出てきて欲しくて、声を掛けてみたが気配を感じない。

口を真一文字に結んで、唾を飲み込む。

「孝秀、ごめんね!!」

勝手に入ることを詫びながら、とうとう扉を全開にした。

視界に飛び込んで来たのは、部屋の真ん中に置かれた大きなベッドと――――

「な……何、これ……」

壁に隙間なく飾られたキャンバスだった。

だけどそこに描かれていたのはいつもの風景画じゃない。

全部――――

「マキコ……さん」

そう寧ろ一枚も風景画はなかったのだ。

百枚近くありそうなキャンバスには、マキコさんしか描かれてなかった。

一瞬で頭が真っ白になって、何も考えられなくなる。

「だって……孝秀。人物画は描けないって」

この光景を直ぐには受け止められなくて、思い付く限りの納得する材料を探していく。

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