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白い背中と君の藍
第7章 ブラック◆消えて…
途端私はキッチン台へ走っていった。
料理は殆どしない孝秀だけど、包丁くらいは置いてあるのを知っている。
水場の下の扉を開いて先が鋭く尖った包丁を握って、また隣の部屋に戻った。
「イヤァァァァァァ――――!!」
発狂したように大声で叫んで、包丁の刃をマキコの絵に突き立てた。
ザクッ!! ザクッ!
キャンバスを切り裂く音を聞く度に、憎しみで真っ黒だった心が晴れていくようだった。
「お前なんか消えてしまえ!! 孝秀の前から居なくなれ!!」
全部の絵に包丁を刺していく。
厭らしく微笑むマキコの顔に、バッテンを書くように刻んでやった。
バラバラに裂かれたキャンバスを見ると楽しくなって気分が高揚してくる。
なのに何故か目からは涙が溢れて止まらない。
マキコの存在を切り裂きながら、大粒の涙が床にシミを作っていく。
「消えてしまえ! 消えて……お願い……」
苦しいよ……孝秀。
この真っ黒な感情を誰か消して――――!!
必死で助けを呼ぶように、悲痛な思いで心の底が叫んだ瞬間――――
「孝……」
私の意識はブラックアウトした。
料理は殆どしない孝秀だけど、包丁くらいは置いてあるのを知っている。
水場の下の扉を開いて先が鋭く尖った包丁を握って、また隣の部屋に戻った。
「イヤァァァァァァ――――!!」
発狂したように大声で叫んで、包丁の刃をマキコの絵に突き立てた。
ザクッ!! ザクッ!
キャンバスを切り裂く音を聞く度に、憎しみで真っ黒だった心が晴れていくようだった。
「お前なんか消えてしまえ!! 孝秀の前から居なくなれ!!」
全部の絵に包丁を刺していく。
厭らしく微笑むマキコの顔に、バッテンを書くように刻んでやった。
バラバラに裂かれたキャンバスを見ると楽しくなって気分が高揚してくる。
なのに何故か目からは涙が溢れて止まらない。
マキコの存在を切り裂きながら、大粒の涙が床にシミを作っていく。
「消えてしまえ! 消えて……お願い……」
苦しいよ……孝秀。
この真っ黒な感情を誰か消して――――!!
必死で助けを呼ぶように、悲痛な思いで心の底が叫んだ瞬間――――
「孝……」
私の意識はブラックアウトした。