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白い背中と君の藍
第8章 コーヒー◇優しい気持ち
「ただいま!」

「お邪魔します……」

先輩の後について身を縮めながら、玄関で挨拶する。

「あら〜!  和久井さん家の恵ちゃん、お久しぶり!  お母さん元気?」

早速先輩のお母さんが明るく迎え入れてくれた。

はつらつとしていて綺麗で、先輩は母親似だ。

「ご無沙汰してます。はい、母は元気です。今日は突然すみません」

申し訳なさが先に立って、思いっきり頭を下げる。

「全然気にしないで〜!  何ならお風呂も入っていいから!」

「母さん!  煩いよ!」

「何よ〜!  いつも男ばかりでむさ苦しいんだから、たまには女の子と話したいじゃない!」

「はいはい!  バイトの話もあるから、邪魔しに来ないでくれよ!」

「とか言って智充。恵ちゃんに変なことしたら承知しないからね!」

「しね〜から!  恵、部屋上だから」

「はい!  失礼します!」

「恵ちゃん、何かあったら大声出すのよ〜!」

「母さん、煩いよ!!」

「はははは!!」

二人の会話に思わず笑ってしまった。

やっぱり智充先輩のイメージのまま、凄く楽しい家庭なのが分かる。

孝秀の家庭は……
どうだったんだろ?

先輩の部屋に行く階段を昇りながら、孝秀のことを考えていた。

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