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白い背中と君の藍
第2章 タンジェリン◇もっと知りたい
鳥羽孝秀……か。

どこか儚げな彼は『羽』あったら今すぐに飛んでいってしまいそうだ。

まだ大人になりきれていない細い背中には、羽が小さく縮まったイメージが湧いてくる。

「素敵なお名前ですね。羽が似合ってます」

「羽が?」

男性には変な表現だったかもしれなかったけども、それ程驚く様子もなく淡々と答えてくれる。

この人には自分の思うままの言葉で伝えても、受け止めてくれるような気がした。

「はい……背中に羽が生えたら、空に飛んで行っちゃいそう」

「……そうかな」

「えぇ、空を良く眺めてますし」

真っ直ぐと空を見詰める綺麗な横顔を思い浮かべるだけで、脈が早まっていてしまう。

「……ないよ」

「はい?」

「俺は一生……飛べない」

「……?」

真剣に受け止めてしまったのかと少し戸惑ったが、そう言った彼の声はちょっと寂しくて……


悲しそうだった――――。

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