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水蜜桃の刻
第14章 氾濫


……動けない。


先生への想い。
それが届かない悲しさ。
言えない自分の弱さ。

先生が与えてくれる快楽。
拒めない自分のずるさ。

私の中で氾濫しているそれら。
もう身動きなどとれなくなっていた。

甘い記憶が今の私に連れてきた、それだけではない感情。

私はこれからどうなっていくのだろう……先の見えない関係に、そんなことを思う。
ただ先生が好きなだけなのに、どうしてこうなってしまったんだろうと。

10年前の始まりから、間違っていた?
先生の心じゃなく、その身体から求めてしまったあのとき。
私も同じようにされているだけ?
だとしたら自業自得なの?

わからないから考えることしかできない。
でも考えても答えが出ない。


……動けない。
ここから、もう。




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