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水蜜桃の刻
第4章 記憶


「……先生、はやく……っ」


疼く。
身体の中が、激しく。

触れて欲しい。その手で。
口づけてほしい。その唇で。
先生のすべてで、私を愛してほしい────。


「……悪い子だよね、ほんと」


妄想の中の先生とリンクする言葉。
 

ほんとに言われた。
先生に、悪い子だって言われた。


ぞくぞくと背中を走るもの。
これはいったい何?


暴かれる。
きっと先生に全部暴かれてしまう。
身体だけじゃない。
そう……頭の中さえも。


「で? さっき何してたの?」


首を振る私に


「下着あんなに汚して。
……何かしてたんじゃないの?」


続けられた問い。
また、首を振る。


「……嘘つき」


きっと先生はもう気づいているんだろう──そんな口調だった。

Tシャツをまくりあげてくるその手を見つめれば、そのまま頭からするりと抜かれる。


「着やせするんだ」


ブラだけの上半身。
まだタオルケットで隠された、裸の下半身。
舐めるように見られ、たまらず私は先生にしがみつく。


「もう一度言うよ」


頭の上から落とされる低い声。
勉強を教えてくれるときの声とは違う。
明らかに、違う。


「今日だけ。次はないよ」


先生にしがみついたまま、こくんと頷く。


「次からはちゃんと生徒に戻って。
でなきゃ俺、先生続けられないから」

「……っ、やだ!」

「だったら守って」


また、頷いた。


「言わない……誰にも言わないからっ」


ちゃんと忘れてないよ、って、そう自分から口にしながら。


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